悪役レスラーは笑う―「卑劣なジャップ」グレート東郷
森 達也

定価: ¥ 819
販売価格: ¥ 819
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発売日: 2005-11
発売元: 岩波書店
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テーマは悪くないが
取り上げている題材は悪くないと思う。
様々な人間模様は十分に興味を引くものだ。
しかし、筆者が決定的に駄目。
やたらと感傷的で練れて居ない文体に、
古臭い左翼思想を混ぜ込んだ文章は、
読んでいるうちにストレスがたまってくることうけあい。
もっと力量のあるライターに扱って欲しい題材だった。
単なるプロレス裏話ではない
正直プロレスには軽い嫌悪以上の感情を持たない私も、買ってすぐに読み始めると、久しぶりに電車を乗り越すくらい集中して読んでしまった。さすがは優れたドキュメンタリーを制作し続ける森達也の著作である。
帯にある香山リカの「「プロレス?やらせだろ。ニホン人?すぐれた民族だよ」硬直化した心にドロップキック」という推薦文の持つ意味は、おそらく本書を読む前と後でとで全く違った解釈ができることがわかるだろう。
人が「何者」なのか。安易に一義的に解釈し、とかく民族性だの民族の一体性だの、そしてそれにもとづいた「愛国心」が人気ある政治家(ない政治家からもだが)の口から出てくる昨今、プロレスという一見何も思想性のない存在を切り口に、この問題を考える絶好の本であるとおもう。
「昭和の活字」プロレス・ファンならば、まず満足では?
まず、面白い。著者や岩波書店の意図がよじれたナショナリズムとプロレスの「活字ドキュメント」であろうとなかろうと取り敢えず置いとく。だってそんな構図は旧来のプロレス・ファンなら新しくないから。その背景に潜む人間模様にファンの触覚は反応してしまうのだ。かつて門茂男の「ザ・プロレス365」が著者の意図とは別に大木金太郎や力道山の「切ない人生」を浮き彫りにしたように、流智美がプロレス・エセーで「エスニック・ギミック虚実」をベースにレスラー「自身」を浮き彫りにしたように。著者の本意ではないだろうが、読後私的には、久しぶりに新しい「プロレス・ライター」に出会ったような気がした。グレート・東郷の話もいい、力道山の話もいい、週ファイの井上編集長に著者が振られた話もいい、しかし、やはり何と言っても、グレート草津と著者の「酒」を挟んでのインタビューがすごく「いい感じ」で最高だ。グレート草津は著者に「もう帰るのか」と寂しい視線を送った。私は著者に「もうおしまいなの?」といいたい。著者にはプロレス本をもっと書いてもらいたいと思う。



